氏名:南條 英雄
最終事業所:岡山事業所
作品名:F6号アクリル画「山笑う」
丁度一年前の今頃のことです。妻が歩けなくなって入院してしまいました。人工股関節置換手術です。コロナウィルスに世の中が過敏になり始め、着替えを持って行っても面会もできませんでした。男一人の自炊生活を余儀なくされました。食材の買い出しがてら、愛犬を連れて普段は滅多に行かない吉井川(岡山県三大河川の一つ)の土手を歩いてみました。遠望する山々がなんだか賑わって見える。妙に惹かれてその方向に車を走らせました。一帯は街並みを外れた田んぼが広がる平野です。その中を千町川という川が流れ、その畔にポツンと「釣り公園」という名の公園がありました。この絵の風景はそこからの眺めです。世の中も私自身も少し沈んだ時期に、山は笑っていました。なんだか少し元気が出たように思えたのは気のせいだったしょうか。
今年も未だコロナ禍は止んでいません。今、まさに花見の時期ですが、染井吉野の桜の下で酒に浮かれるだけが花見ではないでしょう。“密”にならず、遠くから眺める山桜もなかなか“乙”なものと思います。